多剤耐性菌による表在性膿皮症

 

表在性膿皮症は、皮内や毛包上部および真皮上部など皮膚の浅い部位で細菌が増殖する結果起きる疾患です。右の写真は典型的な臨床症状です。最初は毛穴に赤色丘疹が生じ、続いて膿疱(膿のたまった袋)に変化します。膿疱は壊れやすいため、すぐに痂皮へと変化します。これらの毛包炎が治癒しないときは、互いに融合し、表皮小環を形成します。

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 皮膚のびらん部にスライドグラスを押し付け、塗抹標本を作成・観察したところ、球菌を認めました。細菌感染による皮膚炎と診断し、セファレキシンを処方しましたが、二週間後の再診で、皮膚の良化が認められませんでした。そこで、多剤耐性ブドウ球菌性膿皮症を疑い、痂皮を剥がしスワブ検体を採取して細菌培養同定検査・薬剤感受性試験を実施しました。

 

 検査結果から、スルファメトキサザール/トリメトプリムを選択し、処方したところ皮膚の状態の良化を認めました。その後は、自宅でのシャンプーで皮膚の状態を維持しています。このように、治りにくい皮膚病が、薬剤耐性菌が原因となっていることもあります。まずは、皮膚病の原因となる微生物をしっかり調べることが重要です。

*感受性(S) 耐性(R)